ミレニアム懸賞問題とは?数学の難問

ミレニアム懸賞問題というのは、アメリカのクレイ数学研究所が2000年(まさにミレニアム)に発表した数学の未解決問題です。
ミレニアム問題の内容
ミレニアム問題は、次の7つの問題です。
■ヤン–ミルズ方程式と質量ギャップ問題
■リーマン予想
■P≠NP予想
■ナビエ–ストークス方程式の解の存在と滑らかさ
■ホッジ予想
■ポアンカレ予想
■バーチ・スウィンナートン=ダイアー予想
ひとつずつ説明したいのですが、難し過ぎて説明できません。
解決された問題はあるのか
ミレニアム問題を解決すると100万ドルの賞金がもらえることになっています。
これまでに解決して賞金を貰った人はいるのでしょうか?
ポアンカレ予想は解決済み
7つの問題のうち6つは、現時点で未解決です。
ひとつだけ解決済みの問題があります。
「ポアンカレ予想」です。
ポアンカレ予想は、ミレニアム問題が発表されて間もない2002~2003年に、ロシア人数学者”グリゴリー・ペレルマン”が予想が正しいことを証明しました。
ペレルマンの論文
ミレニアム問題では、賞金を得るためには「査読つきの専門雑誌に掲載された後、二年間の経過期間を経て解決が学界に受け入れられたことが確認されなくてはならない」とされています。
ペレルマンは、論文をネット上に公開しました。
査読付きの専門雑誌には投稿していないのです。
ただ、この規定は証明が正しいという判断の基準として定められたもので、数学の論文が通常通る道から決めたものです。
ペレルマンが、想定していない行動をとったのです。
ネット上にプレプリントを公開するのは普通のことですが、重要な証明を専門雑誌に投稿しないという行動です。
もちろん後から雑誌に投稿することもできます。
査読付きの専門雑誌も間違いなく受け入れます。
そうすれば問題なくペレルマンは賞金を手にできたのです。
ペレルマンという人
ペレルマンは天才と呼ばれた数学者です。
ただ数学界に嫌気がさしていたこともあるようです。
ポアンカレ予想の論文を公開したときには、数学界から離れていて誰とも交流がなかったようです。
そのペレルマンが突如論文を公開したことは驚きを持って受け止められたようです。
論文には「ポアンカレ予想を解決した!」というような文言はありませんでした。
ただ、ペレルマンを知る人は彼の性格から、このように論文を発表するということは非常に重要な案件だということをすぐに理解しました。
そして、彼が発表するということは細かいところまで完全に吟味されつくして、間違いがないはずだということもわかっていたようです。
それがポアンカレ予想の証明だったのです。
フィールズ賞の拒否
ペレルマンの証明は数学者たちによって確認されていき、証明は正しいと認められるようになりました。
そして、数学のノーベル賞と言われるフィールズ賞の受賞も決まりましたが、ペレルマンは受賞を拒否したのです。
俗世間から離れた人、ペレルマンはそんな感じがします。
クレイ数学研究所の判断
ペレルマンの証明は、査読付きの専門雑誌に掲載されるという条件を満たしていませんが、ミレニアム問題を解決したことには変わりありません。
クレイ数学研究所が「ミレニアム」の名を使って立ち上げたプロジェクト(数学に興味を持ってもらうために)がいきなり想定外の事態になってしまったのです。
間違いなくミレニアム問題が解決されたのに、条件の不備を理由に賞金を授与しないという態度はとれません。
そのため、ペレルマンにポアンカレ予想の証明の業績で賞金を贈ることを決めました。
でも問題があります。
ペレルマンが賞金を受け取るかどうかです。
ぶち上げたプロジェクトで、いきなり拒否されるというのも問題です。
そして、予想通りペレルマンは賞金の受け取りを拒否しました。
7つの問題の中で唯一解決した問題が、賞金受け取り拒否という事態になってしまったのです。
その後ペレルマンは、人前にほとんど姿を見せない生活を送っているようです。